院長ブログ
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言葉に邪魔されない
宮崎駿監督が引退を発表し、
そのニュースは世界中を駆け巡りました。
日本人の映画監督で、
引退のニュースが世界中に発信されることは極めてまれなことだと思います。
先日、初めて「風立ちぬ」を観た時の感想をブログに書かせていただきました。
今まで、同じ映画を、
上映期間中に2回映画館で観たことなどありませんでした。
将来発売されるDVDでは決して味わうことができない、
携帯の呼び出し音や日常の雑音のない、大画面の映画館で、
数多くの作品を作り上げた宮崎監督が、
初めて自分の作品を観て涙したという“最後”の作品を、
もう2度とスクリーンでは観ることができないと判断し、
“再鑑賞”してきました。
「戦争は反対、でも零戦・戦艦大和は大好き」
という人がいます。
完成時は世界一の戦闘能力を持った“零戦”。
主砲径46cm、世界最大の戦艦“大和”と同型艦“武蔵”、
日本の敗戦を決定的にしたミッドウェー海戦で沈んだ4空母、
“赤城”、“加賀”、“蒼龍”、“飛龍”、・・・。
小中学生の頃、
学校では全くと言っていいほど教えてくれなかった「戦争」について、
買った本や「立ち読み」をして、
特に日本海軍の軍艦についてはかなり詳しくなりました。
今振り返ると、
続々と新しいデザインが全国に導入される新幹線が大好きな、
今の子供たちと同じように、
乗り物に対する“憧れ”のような気持ちがあったのだと思います。
ただ、新幹線と全く違うところは、
真面目で我慢強い日本人が、
数少ない資源と劣悪な環境で、
苦労をして作りあげた、多くの優秀で美しい、
“飛行機”
“船”
が、
戦争に使われてしまったこと。
そして結末は全て、
“悲劇”
でした。
戦争について語ったり、コメントするのは難しいことです。
“零戦”や“大和”などを、汗を流し、魂をこめて完成させた方々、
強制的に「招集」され、結果的に「参戦」した方々に罪はありません。
「生きる」ための必然だったからです。
今の私たちに求められているのは、
これまで苦労をされてきた日本人の歴史を、
どう子供たちに引き継いでいくか。
どうしたらひとりひとりが、
「平和に生きる」ことができるか。
宮崎監督のメッセージを大切に受け止め、
一日一日を大切に生きていきたいと思います。
今日行われた引退会見で、
予想された海外メディアからの質問に、
宮崎監督は次のように答えられたそうです。
「映画を観ていただければわかると思います。
色々な言葉に邪魔されないで。」